はい息吸ってーはい止めてー

今日は健康診断の日。血ィ抜かれたりとかしたぜ。中身の入った検尿のカップが並んでるの見てシャッフルしてやろうかと思ったけど、それで自分のだけ無事となるとどう考えてもばれるし、自分のも含めていたずらするとろくでもない結果が出たとき困るんでやめる。


で。俺が行った頃にはもう人影もまばらで、白衣連中も暇そうだったのな。俺も血を抜かれてしばらくそこを押さえてなきゃいけなかったんでその場に居たんだが。採血担当の連中が暇すぎて時間つぶしにそれぞれの「採血のやり方」を披露しだしたと思いねえ。3人くらいで。


「こんな感じで、こう」
「えー? ちょっと強くない縛るの。もちょっとこうとか」
「こう?」
「うーん。ちょっと違う。もう少し、こう。こう縛る」
「あー」
「こう縛るのは?」
「んー?」
「ちょっと強いほうがいいって」


白衣を着たうら若き女性たちの会話だと思うとこの部分だけでハァハァしませんか。しませんか。実際には俺の同期が右手に何回か針刺して駄目で、左手に刺してようやく血を抜いたって程度の腕前なので実は恐ろしい会話だけど。


笑いそうになったんで血が止まったか確かめずに退散したよ。あー苦しかった。