あおーん

ルー=ガルー (トクマ・ノベルズ)

ルー=ガルー (トクマ・ノベルズ)

読破。電車の中でちまちま読んでたけど残ってた8割くらいを一気に読んだ。
まず思ったこと。「こんな世界には住みたくねえ」 ディストピアってこういうものだよな。嫌すぎるだろこの社会は。でもブレーキ効かせるべきときに失敗しちまうと日本て国はこうなっちまうのかと考えるとすげえ鬱入るなあ。
物語自体はどんどん引き込まれていく感が最初からあって、のめり込みながら楽しめた。とはいえこの物語の中では現実世界とは違う社会が成立しているのでそこを念頭に置いておかないと話
が理解できない部分もある。俺は物語の一方の主人公である葉月・美緒・歩未の三人により強く惹かれたけど、この三人にしても俺らが経験した学生生活とはまったく違う生活をしてるので彼女たちの認識している「自分にとってあたりまえの世界」と俺の現実との差異にくらくらきた。
そこが面白かったんだけどな。物語のヒーローは文句ナシにこっち。ピンチに陥ってから逆転へ転じる流れもいいし、ラストで大暴れしてくれんのもそれまで抑圧されてたぶん余計にスカッとしたしな。
もう一方の主人公の静枝・橡ペアは苦労ばっかしてた印象が強いな。『敵』に近かった所為もあるし真面目な性格の所為でもある。さらに物語のなかで暴力的には大して強くないって立ち位置の所為もあるな。頭は良いし正義感もあるんだけど敵の直接攻撃に弱かった。囚われるタイプのヒロインの系譜に連なっていると見たね。
分厚い本で中身もけっこう重いけど面白い本。未読の人は読んでみれ。