昨日のこと

まあ結局眠れそうになかったんで、枕もとに適当に拾った本を積んで読む。俺のパイプベッドにはいちいち部屋の電気を点けんでもいいようにアーム式のライトが付いてるのでそれを点ける。こうやって冬場の夜に布団にくるまって手元を照らすだけの光で本を読むのは実に楽しい。自分だけの世界があるように感じる。何も音がしないでしーんとしてるとさらに雰囲気が良いんだけど、今住んでる界隈はなかなかそうもいかないな。遠くのほうからエンジン音が聞こえてくるだけでせっかくの雰囲気は台無しになる。やっぱりもっと人家の無いところに住むべきか。いやでもあんまり辺鄙なとこだと何かと不便だし。あるいは家そのものを要塞化するとか。防音防弾防炎防呪。最終防衛自爆装置有り。いや待てやるなら徹底的に完全閉鎖系でコロニー並に。食物連鎖で自給自足。はははそりゃいいや。とりあえずは部屋に冷蔵庫が欲しい。
あちこち考えが飛びながら時々は眠ったような気もする。んでそのうちに不意にずざざざと頭の横の物体が倒壊。どさどさ。いきなりだったからびびった。一瞬パニックを起こして暴れたらしく頭に崩れ落ちてきたものがいくつかベッドの下まで落下してしまった。
あれま。ライトを当ててみると見事に隙間に嵌まり込んでる。うーむあれを拾おうとするとベッド周りを片付けてベッドを動かさなきゃならん。それはめんどい。でも手は届かない。ならばどうするか。なんとかして引っ掛けりゃ掬い取れそうだ。
こういうときの為に買っておいたマジックハンドを引っ張り出す。子供の玩具と馬鹿にするなかれ。ちゃんと使えるんだって。いやほんと。実を言うと駅に置いてある線路に落ちた物を拾う長いやつが欲しいんだけど売ってないしな。高枝切り鋏も試したがあれは長過ぎ。使い慣れてるんでしぱしぱっと拾う。また崩れると嫌なのでベッドからはどけておくことにする。
んでまた寝てるのか寝てないのかよくわからん状態でうとうと。


ンなことやってたら気付くと朝だった。楽しいかって聞かれると困るが。


投げっぱなしで終わる。