魔法修行者

あー仕事終わったし! 本のことちょっと書いたから、魔法のこともちょっと。

 魔法。
 魔法とは、まあ何という笑わしい言葉であろう。
 しかし如何(いか)なる国の何時の代にも、魔法というようなことは人の心の中に存在した。そしてあるいは今でも存在しているかも知れない。

幸田露伴が魔法についての様々な事柄を書いてくれているのは読んでもらったほうが良いのでバッサリ割愛して、マギカロギアのPCのレベル(不老不死までイっちゃった連中)とは行かないまでも、魔法を身につけようと頑張った人の記録が面白いので紹介。

 我邦で魔法といえば先ず飯綱の法、荼吉尼の法ということになるが、それならどんな人が上に説いた人のほかに魔法を修したか。志一や高天は言うに足らない、山伏や坊さんは職分的であるから興味もない。誰かないか。魔法修行のアマチュアは。
 ある。先ず第一標本には細川政元を出そう。

ググれば分かるけど、応仁の乱を引き起こした一方の武将として名前が出てくる細川勝元の息子。半将軍と渾名されたほどの実力者だったのに、なんでまた魔法修行に凝ったのか。『魔法修行者』によれば、生まれる前から魔法に因縁があった。親父の細川勝元愛宕山大権現に願掛けをして授かった子供であるらしい。穏やかじゃないところへ願を掛けたもんだ。

そんな縁があって、やがて細川政元は篤く愛宕山大権現を信仰するようになった。厳粛に修行に修行を重ね、齢四十を越える頃には「見る人身の毛もよだちける」様だったという。もうこのへんまで行ってしまうと、空を飛ぶなんてのは普通にできたらしい。感情の動きも物の考え方も常人とは違ってきたというが、もともと現世を離れようって意図で修行したんだから、修行が進めば進むほど浮世離れしていくのはむしろ当然だった。

オチは想像通り。お家騒動で殺されましたとさ。

幻談・観画談 他三篇 (岩波文庫)

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