塩の生産地

武侠傳のネタとして直接の関係は無いが。知っておいて損は無い。
中国で塩と言えば大きく分けて5種類あった。

  • 海塩・・・沿海地方で太陽熱を利用して濃縮塩水を造りそれを煎煮して製造するもの。近代以降には天日製塩も行われていた。海塩はその産出地域により,長蘆塩(河北省)・山東塩(山東省)・両淮塩(江蘇省揚子江以北)・両浙塩(江蘇省揚子江以南および浙江省)・福建塩(福建省)・両広塩(広東省)に大別される。
  • 池塩・・・山西省の解池や寧夏省の花馬池などの塩池の塩水から太陽熱と風力によって製造するもの。
  • 崖塩・・・いわゆる岩塩。新疆*1雲南チベットに産地が多い。
  • 井塩・・・地下水脈となっている塩水を井戸によって汲み上げて煎煮するもの。四川省および雲南省において行われた。
  • 土塩・・・地表近くの土中に含まれる塩分を水に溶かして塩水を造りそれを煎煮するもの。山西省北部が生産地。

古代においては解池の塩が、漢民族がしだいに江南にも発展するにつれて海塩が、政治・経済上に重要な役割を占めた。さらに上に挙げたように総面積に比し産塩区の狭少な中国においては,専売制度はきわめて有効に推進されることになった。
肝心なことは海塩が質としては最高であることと、内陸部での塩の生産がごく限られていたことの2点。塩に関するシナリオを作るなら、そこのところに留意するといいだろう。

*1:読みは『しんきょう』。「新しく拓いた土地」の意味。それまでは回疆、さらに古くは西域の名で呼ばれた。別名東トルキスタン中華人民共和国成立後は1955年新疆ウィグル自地区に改められた。