展覧会ひとつめ・続き

ひとつめってのはあくまでも俺にとっての話だけど。


門をくぐり、階段を上がる。やはりこのあたりから雰囲気が違っていて、ちょっと緊張した。階段を上がりきった正面にドアらしきものがあったけど、触ってみて動きそうになかったので目線を壁沿いに左に向かわせるともうひとつドアがあり、何かくっついているのが見えた。近付いてみると「澁澤龍彦の驚異の部屋展」とある。良かった間違いなかったかと思ってドアを開けてみると、男性が隣の部屋から現れて出迎えてくれた。ここには初めてだったが、気さくな応対をしてくれたのでほっとする。


とりあえず入場料を払う。「どちらでここのことをお知りになりました?」と聞かれたのでインターネットでと答える。「ほう。そんなものがありますか」とのこと。


少し言葉を交わして、その後に展示を見せていただく。同じ開催期間でやっている埼玉県立近代美術館のほうにはまだ行ってないので勝手な印象だが俺はこっちのほうが良いと思うなあ。大きな建物に展示物を大量に並べるのは見応えもあって楽しいだろうけど、どうもしっくりこないんじゃないかな。それよりもこじんまりとした個性的な「箱」のほうがいいんじゃないかと思う。ま、次に行く予定の埼玉県立近代美術館を見たらその物量に圧倒されてころっと意見を変えるかもしれんけどね。あくまでも現時点での感想として。


1階部分(いや待てよ。そもそも入るときに階段を登っているから本当はここは2階か)を見て回り、階段を上がって 2 階(本当は3階? ああもうややこしいからどうでもいいや)へ。ノートがあったので一言感想を書いておく。


2階を見て、もう一度今度は来たときとは逆に展示を辿りなおし、さてこれで全部かと思って外にでて階段を降りかけると、最初に声をかけてくれた男性が後を追いかけてきた。俺はもうひとつの部屋の展示を見忘れていたそうだ。うお、恥ずかしい。言い訳させてもらうと、最初にその男性がそっちの部屋から出てきたし、ちらと覗くとテーブルに書籍が広げられて何やら会話を交わしている人たちがいるしで、てっきり作業部屋か何かだと思ったんだよう。教えてもらえなければ見逃してた。大事そうな話の最中だったのにわざわざすいません。


それでまあ、恥ずかしいことをしたなと思いつつも展示はやっぱり見たかったので、改めて入りなおす。良かったのはやっぱりあの島の写真かなあ。イタリアとか、海外旅行で行ってみたいもんだのう。


今度こそ全部を見終わる。出入り口のほうへ戻ると、先程までは人影の無かった室内に何人かがいる。俺はちょうど人の絶えた時間帯に来れたらしい。おかげで静かに見れたし幸運だったということか。


ギャラリーTOMをあとにして、家からこっちバスも電車も立ちっぱなしでさらにここまで歩きどおしだったので、目の前の公園で一休み。来るときに買っておいたお茶を飲み、忘れないうちに感想をメモしておく。


さて帰るべと駅に向かって歩き出す。さっきは気付かなかったが、この公園の前にも選挙カーが来ていて支持を訴えていた。ああそうかここでも選挙はあるんだと今更気付く。ただの音として聞き流しつつ歩く。お昼にそばを食い、ブックファーストにも寄り道して、帰宅。