点穴術修行その1

点穴の技は指の力が要となる。突きにいって骨折しましたじゃ話にならないので、まずは手指を入念に鍛え上げていくところかあら始まる。
1.点木・・・初めて練習を開始する時は比較的やわらかい木などを用いて練習する。具体的な練習方法は、まず金針指や金剪指でやわらかい木の板などをゆっくりと点じる(=突く)。三ヶ月ほど経ったら点じる力を強くしていき、回数も増やす。さらに3〜5ヶ月ほど経って、点じる時に痛みを感じないようになったら、板を硬いものに替えるようにする。ここで躓くようじゃ見込みは無い。


2.点石・・・点木である程度鍛えらてくると木の板を点じる程度では指に痛みを感じなくなり、指先も段々と硬くなってくる。すると今度は表面がツルツルの石を探してきてそれを点じる訓練を始める。あとは点木と同じ。この修行は3〜5年の長きにわたる。もちろん、別の修行と並行させて構わない。でないと弟子が拗ねるから。


3.点沙袋・・・袋の中に砂を入れて満たし約一尺二寸の厚さにする。その砂に空手の貫手の鍛え方と同じように指を突きこむ。練功が3年に及べば、砂を出して今度は小石を入れる。厚さは約五寸。そこからさらに約3年練功を続ける。その後は鉄砂を入れて毎日練功し、これを3年ほど続けた後には鉄砂を鉄屑に替えて練功を続ける。ここまで至れば指先を土中に打ち込むことも出来るようになる、らしい。手が駄目になってなけりゃの話だが。


4.練頂勁・・・腕全体の力を指先に集めて、硬い物を打つことが出来る力を頂勁という。頂勁の練習も、やはり軟から硬へと段階をおって進めるべきとされている。これは要するにひたすら全身の力を乗せて指で対象を突く訓練。体力の弱い者は、指にカバーををつけて点打の練習をしても構わないとされる。始めには五穀や砂を点じ、次に腐木で練習し、段々と硬い木や壁、石や鉄で作った物とグレードアップしていく。


5.抓勁・・・抓勁とは、即ち親指・食指・中指を用いて抓点(掴みながらツボを点じる)によって人を制する功法のこと。この法の目的は、食指に勁を込めて点穴すること。その為に、まず親指と中指で掴んでから食指で点じるようにする。これは、つまり食指の点穴の補助として親指と中指を用いるわけで、かなり変わった独特の法、らしい。その練功の方法は、まず拇指・食指・中指の末節を少し内に曲げて鷹の爪状にし、形を円形の錐のようにする。この三指に、出来る限りの力を込めて物を掴む。その時には全身の勁力をこの三指に集めるつもりで行わなければならない。このように物を掴む訓練を毎日3〜5回、毎回100〜250回繰り返して、5年ほど苦練を重ねると成功に到る。その成功者は抓むだけで相手の肉を弾けさせるってんだから、もう花山サンなみ。


以上の練功は非常に手を痛めやすいので(痛めやすいってだけで済ませる神経もどうかしてるが)、それを防ぐための薬水を用意して手を浸しておくなどの薬方がある。この薬方は(記述を信じるなら)傷を予防するのみではなく、筋骨を伸びやかにし気血を和合させ、経絡を通じさせる効能がある。また、血を壮んにし気を益し、髄を強くし骨を固くする効能がある。でも潰れた手が再生するとはどこにも書いてないから要注意。
念のため追記しておくと、指を鍛える修行は他にも色々とある。鉄牛耕地(指を使った特殊な腕立て伏せ)や、水の入った瓶の上げ下げ(名前忘れた)などなど。
つづく。次は勉強編。