名称と性格

単に「盗」と呼ぶ場合が最も多く、他には「寇」「賊」ともいい、清代以降は「匪」と呼んだ。が、このへんは何と呼んでも同じ。4文字を適当に組み合わせて「盗賊」「賊盗」「賊寇」「匪賊」等々とも呼ぶ。どう組み合わせてもOK。
別には活動場所や行動形式から語句を付けて区別したものもある。はっきり言ってこっちのほうがわかりがいい。
山賊→山に巣窟を構える賊。
海盗→沿岸地帯や島に住み海を縄張りとする盗賊。
水賊→内陸部の川や湖で、船に乗って荒らしまわる賊。
馬賊→騎馬形式の盗賊。東北(いわゆる満州地方)に多い。
妖賊→あやしげな民間信仰を核とする盗賊。太平道などがこれにあたる。
教匪→仏教やキリスト教を母体とする盗賊。こちらは白蓮党。
流賊・流寇→特定の根拠地を持たず、広範囲に流動する盗賊。
土賊→一定の比較的狭い範囲を縄張りとする盗賊。
等々。
このほか、俺らのご先祖様が「南無八幡大菩薩」の旗を押し立てて海を渡り中国沿海域を荒らし回った「倭寇」も盗賊の範疇に入る。
では次。その性格。肝心な点は4つある。
一、官以外の
二、武装した
三、実力で要求を押し通そうとする
四、集団
である。官以外というのはつまり政府・体制・権力側では無い連中のことだ。肝心な点は彼らの正義・不正義は全く関係がないという点。世直しを掲げようが只の略奪集団であろうが公式な記録を残す体制側からみれば全部「世の中を乱す不逞の輩」なのだから区別などされない。上の条件に当てはまるのは皆「盗賊」で構わないのだ。
つづく。